健康診断で、指摘される肝障害の中で、最も多いのが、脂肪肝です。脂肪肝は、過剰な中性脂肪が肝臓に蓄積した状態で、原因は、大きく分けて二つあります。一つは、アルコールの飲みすぎと、もう一つは、栄養過多によるものです。現代は、飽食の時代と言われていますので、ほとんどが食事の栄養過多、肥満が脂肪肝の原因となっています。中年の男性の半数は、脂肪肝を患っているとも言われていますが、最近は、若い人にも脂肪肝が増えてきています。脂肪肝の症状は、軽い倦怠感、上腹部の不快感など、はっきりとした症状は認めません。ほとんどが無症状です。脂肪肝になると、肝臓が大きくなって、まれに右肋骨の下に、肝臓の辺縁を触れる時があります。(下左の写真は、正常な肝臓。下右の写真は、腫大した脂肪肝を示しています。)過栄養が原因の場合は、体重の変動、体脂肪率と肝臓内の脂肪沈着の程度は、相関関係を示しますので、体重が増えてきて、何となく体がだるいと感じる方は、一度肝機能の検査が必要です。 さて、この脂肪肝の治療は、と言うと、特効薬は存在しません。治療薬としては、リノール酸類のEPL、ビタミン剤などを内服しますが、基本的には原因の除去。すなわち、アルコールを控え、食事の摂取カロリーを少なくすることです。飲酒と肥満がある限りは、脂肪肝が治癒するのは、なかなか難しいようです。とにかく、節制が基本である生活習慣病の一つです。