微量元素といわれる亜鉛は、肝臓の繊維化に重要な役割をしています。肝炎が、肝硬変に進行していく過程で、特徴的な形態学的な変性として、肝繊維化があります。肝繊維化は、肝臓内の微小な血液循環を阻害し、肝細胞への酸素供給不足をもたらし、肝臓でのみ産生される蛋白質(アルブミン、プレアルブミン、トランスフェリンなど)を低下させます。これらの蛋白と亜鉛は結合して、血中に安定存在しますが、これらの蛋白が減少することで、亜鉛は尿から排泄され、その血中濃度を低下していきます。亜鉛は、肝繊維の主成分であるコラーゲンの産生を抑制する機能がありますが、亜鉛が不足するとこのコラーゲンの増生がすすみ、肝繊維化に一層拍車をかけ、肝硬変と進展していきます。亜鉛だけでなく、銅、、マグネシウムなどの微量元素も、肝硬変症では、不足しています。これらの微量元素の不足が、コラーゲンの増大と、肝繊維化を進めることになります。