「B型急性肝炎にかかって、肝機能が正常化せずに、慢性肝炎になりました。」と言うタレントの記事を、週刊誌やスポーツ新聞で見たことがあります。しかし、B型肝炎ウィルスに急性感染しても、慢性化することは、ほとんどありません。慢性化するケースと誤解しているのは、以前から、B型肝炎ウィルスを保有していて、それから、急激な肝機能異が出現した場合です。この病態は、B型慢性肝炎の急性増悪、B型肝炎キャリアからの急性発症と言います。 本来のB型急性肝炎の感染経路は、90%以上が、性行為です。ですから、B型急性肝炎は若い人に、多くみられます。しかし、一方、B型慢性肝炎の急性増悪、B型肝炎キャリアからの慢性肝炎化のケースも、10代の後半から30代前半に、発症するため、時には、診療現場においても、両者の鑑別がつきにくいこともあります。その時、重要な情報は、肝炎の家族暦があるかどうかです。B型慢性肝炎の急性増悪、B型肝炎キャリアからの慢性肝炎化のケースでは、家族にB型肝炎ウィルスを保有する人(兄弟、姉妹、母親)がいます。家族の中に、肝炎を患っている人の存在があれば、本来のB型急性肝炎の可能性は低くなります。特に、姉妹に出産歴があると、出産の前に、B型肝炎ウィルスの検査をしますので、これにより、家族全体のB型肝炎ウィルスの保有が分かることになります。