肝臓小話
C型肝炎の感染経路は、80年代以前は、大半は輸血を介するものでした。輸血、手術をした後に、肝炎が発症することから、術後肝炎、輸血後肝炎と呼ばれていました。80~90年代前半は、社会的問題となった血液製剤が感染源の主役でした。
C型肝炎は、血液を介して感染するので、C型肝炎ウィルスの血液を含み、付着したものは、すべて感染の危険性があります。輸血、血液製剤は量が多いので、はっきりとわかりますが、微量な血液量の場合、それを認識することは難しいです。
医療現場においては、針刺し事故は少なくないのですが、一回で、C型肝炎に感染した例は、かなり少ないです。しかし、何回も繰り返した場合は、感染の危険性が高くなります。その典型的なケースが、刺青です。刺青は、血液が付着した針を、何百回、何千回も皮膚に刺すために、感染します。針刺し一回だけで、肝炎が感染する危険性は少ないのですが、数多く針を打てば、高い確率で感染します。
昔の針治療は、個人専用の針でなかった時代に、感染したケースが多くありました。他の人の針を使用して繰り返し治療したために、感染したケースは少なくなかったようです。今では、個人専用の針になっていますから、感染の危険性はありません。
他のケースでは、○○式垢すりで、感染した例があります。これは、垢すりに付着した血液にたまたま肝炎ウィルスが存在していたため、何度もこするうちに、皮膚から出血し、そこから感染したケースです。今は、もう垢すりも清潔なものに変わっているので、心配ないです。
ピアスの穴あけで、感染した例もあります。ピアスの穴あけの器具を、何人かで、使いまわした例です。その中の、一人がたまたまC型肝炎ウィルスを持っていたために、その後に使用した人たちに、感染したケースです。
この他には、医療行為が、感染源になっていたことは、数多くあったようで、何度か医学雑誌にも掲載され、○○診療所を中心に、半径5キロ以内に、C型急性肝炎が多発したことから、判明しました。医療現場は、血液後付着したものが、いたるとこにありますから、いつでも、感染源になる可能性が高いです。
他に、性行為、母子感染については、別の機会に話します。