肝臓小話
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肝炎の状態を把握するには肝機能などの血液検査値、エコー、CTなどの画像検査が必要です。最も知られている肝機能は、GOT(AST),GPT(ALT)です。GOT(AST)は、肝臓以外の組織の異常値も含みますので、GPT(ALT)の方が、肝機能と密接に結びついています。GPTは肝細胞に含まれる酵素を反映しており、GPTが上昇することは、肝細胞が死滅していることを示します。GPTが高値を示すと、肝臓がウィルスからの攻撃を受けて、強い炎症が発生し、肝臓が壊死したと考えます。肝細胞は、人間の臓器の中で、最も再生力が高い細胞で、損傷した肝細胞は、新たに再生分裂して、肝臓を再生します。最初は、元と同じの正常な肝臓が再生されますが、何度もこれを繰り返して行くと、再生する肝細胞は減少し、表面がゴツゴツした、肝臓に変化します。この形態が肝硬変です。
C型肝炎の、進行の速度は、GPTの値と関係があります。100以上のGPTが続くと、肝硬変に到達するのは、50代はじめとなります。しかし、GPTが50前後であれば慢性肝炎の状態を維持できます。そうなれば、70代になっても、肝臓が原因で、命を縮めることは少なくなります。
肝臓の形態を評価するのは、エコー、CT検査を行います。肝臓の、大きさ、表面の凹凸、辺縁の丸み、内部の線維化の程度、脾腫の有無などを評価して、下の図の、どの形態に一致するか判断します。 そうすると、肝炎の現在位置が決まります。
肝炎の進行を、正常肝臓から終末の肝癌まで、東京から大阪までの鉄道に例えますと、慢性肝炎なら、静岡。肝硬変なら京都。大阪は肝癌となります。そこに、到達する速度は、GPT(ALT)が150以上ならば、新幹線。100前後なら、快速電車。50程度なら、普通列車となります。新幹線のスピードで進むなら、3時間かからずに、終点大阪に到着しますが、普通列車なら、丸一日かかります。これが、C型肝炎を患っていても、50代で肝癌になるか、80過ぎまで、長生きするかの違いです。ですから、C型肝炎を患っている方は、今、どの駅で、どの電車に乗っているのかを、知ることが大切です。